従業員の所属組織への心理的なロイヤリティ(帰属意識/貢献意欲)といえる「従業員エンゲージメント」を高めるには、どうすべきなのでしょうか?

ハーバード・ビジネス・レビュー誌(2019年11月号)に、このテーマに関する興味深い論文があります。
それによると、従業員エンゲージメントを高めていくために、決定的に重要な要素は「チームの力(=素晴らしいチームとチームワーク)」だと言うのです。調査によると、エンゲージメントと生産性において個人差が生じる最大の原因は、ひとえに「業務の大部分をチームで行なっている」かどうかだったのです。

また、グーグルでは、様々な科学的分析を経て、組織のカギは個人ではなく、チームにこそあることを明らかにしています。

それまでの数年間に、グーグルの先駆的な人材分析チームと仕事をしていてはっきりわかったのだが、グーグルが行う素晴らしいことのほぼすべては、チーム内で起こっている

エリック・シュミット著「1兆ドルコーチ」序文より

私には、このことが、すっと腹落ちする経験をしたことがあります。
前職のITベンチャーで部門長をしていたときに、複数の部署を所管していたのですが、高い従業員エンゲージメントを示すグループと、低い従業員エンゲージメントを示すグループがありました。

高い従業員エンゲージメントを示すグループは、カスタマーサポートを担う部署でした。社員数6〜7名と非正規従業員20名ほどで全体で30名弱くらいの組織です。私が所管してからは、KPIを絞り込み、グループ長に権限移譲を行い、組織運営をボトムアップで行わせました。基本的には、働く従業員が働きやすい環境をどんどん整えていき、私は週1回の定例MTGで守るべき品質レベルの伝達と方針や施策に対するフィードバックを行う方式でマネジメントをしていました。その結果、従業員エンゲージメントのスコアは、みるみる上がっていったのです。
彼らはチームとしての一体感があり、相互に信頼しており、お互いをフォローし合いながら仕事を進めていました。皆がお互いに何の仕事をしているか認識しており、個人ではなく複数人で目標を共有していました。

一方で、低い従業員エンゲージメントを示すグループは、新規顧客を獲得するためにデジタルマーケティングを行う社員5名ほどのチームでした。ITベンチャーでデジタルマーケ担当といえば普通は花形部署なのですが、事業成長するために常に強いプレッシャーを受ける環境で、基本的には縦割りで個人個人に担当するチャネルが割り当てられている形で運営していました。
あるタイミングから新規受注件数の伸びが落ちてきて、目標達成が苦しくなりました。ただ、個々人が目標の新規受注件数を毎月追うスタイルでしたので、チームとして共通の目標を追うという意識が希薄でした。チームで切磋琢磨し乗り越えるのではなく、個人戦で頑張り続けないといけない状況が続き、従業員エンゲージメントはどんどん落ちていきました。

流石に、これはマズイということで、チャネルごとに個人が目標を追う形ではなく、複数人で同じ目標を追う形に切り替え、チーム戦で戦うマネジメントスタイルに切り替えました。グループとしての月次目標を達成できたというのもあり、従業員エンゲージメントのスコアは急回復したのです。

私は「チームへの帰属意識」と「チーム(の成果)に貢献できている感」がエンゲージメントを高めていくという、とてもわかりやすい事例を身をもって経験したのです。
皆さんは、似たような経験をされたことはないでしょうか?
業務の大部分をチームで行なっている」状態であれば、必ず従業員エンゲージメントが高くなると言うわけではなく、高いエンゲージメントを出すための必要条件と捉えた方がいいと思います。ただ、エンゲージメントが高い組織を作るためには、チーム力がエッセンス(肝)であることは意識しておくべきでしょう。

それでは、次回は、従業員エンゲージメントをどのように計測すべきかについてまとめていきたいと思います。

# ジャンプスタートパートナーズの従業員エンゲージメント調査