先日、過去にお仕事を頂いていたクライアントのある方から「なぜ韓国企業は強いのか?そして、日本が勝つための長期戦略は?」との質問をメールでいただきました。その会社は、グローバル市場で競争しており、中国企業についてもそうですが、韓国企業の力強さをひしひしと感じているというのが背景にあるようです。韓国経済やその企業動向に特別詳しいわけではないのですが、友人の韓国人の話なども踏まえて、韓国企業が強い秘密を少し整理してみました。

1.教育を最重視するカルチャー(教育以外の投資先はないという親の志向)
オバマ大統領が、このまえ韓国の教育システムについて見習う点が多いと賞賛していましたが、韓国では「教育は唯一のコア資産」であるという考え方が根付いており(天然資源や技術力などがないことの裏返しでもありますが)、親は子供への私費教育として、先進国平均の4倍を投じているそうです。韓国人ビジネスマンが、日本人よりも平均的に優秀であると(私個人が)感じたことはまだありませんが、過去20~30年の教育投資の成果が、いまじわじわ結果としてでてきているとみることもできます。

2.強いオーナーシップ(トップダウンの経営スタイル)
韓国系で強いと目されている企業、サムソン、LG、現代などはいまだオーナーが実権を握っており、日系企業よりも意思決定が早く、かつ、大胆であるとはよく言われていることです。特にサムソン・ソニーの比較だと、ソニーも非常に強い遺伝子をもった会社だと思っていますが、サムソンの動きの方がスピード感があると感じています。大学の授業でサムソン・テスコのCEOのインタビューを見ましたが、物静かな感じなんですが英語を流暢に話し、理念が明確で、強烈な意志を感じました。韓国系大手とバッティングする日本の大企業は、経営者の世代交代が進み、経営スタイルが大分丸くなっているのかもしれません。

3.学びに対して素直・貪欲である。
これも統計をとったわけでもないので、実際どうなのかはわかりませんが、肌感覚として韓国人は学びに対して、素直で貪欲な気がします。分からないこと、気になることがあればどんどん質問しますし、あまり恥じを気にしているそぶりはありません。一方、彼らは、日本人のことを、プライドが高く、それが成長を遅くしていると見ているようです。確かにそうかもしれません。例えば、サムソンは日本の技術を盗むようなことを平気でやってきましたし、逆にソニーはサムソンには技術がないとずっと馬鹿にしてきました。この学びに対する姿勢が、ビジネスでの結果の優劣を生んでいるとも考えられます。

あと、面白い意見としては、韓国は徴兵制を導入しており、結果成人男子はみな一応に精神的なタフネスさをみにつけている。そのタフネスさがビジネスにおけるアグレッシブなネゴシエーションや迅速な意思決定につながっているという見方です。

但し注意点としては、韓国企業が一律に競争優位であるといいうわけではありません。中小企業はまだまだ脆弱で、目立っているのは一部大手企業というのが実態のようです。グローバル市場で急激に存在感を見せ付けている数社がでてきているので、”強い韓国企業”と注目されているのだと思います。