CSとESの両方を重視した経営を行い、高い業績を残している会社を紹介しましょう。
「人間性尊重の理念に基づき、第一に従業員満足(ES)を追求する。そして、その従業員が求める私たちのあるべき姿として、お客様満足(ES)を追求し続ける。」
これは、ネッツトヨタ南国という自動車販売会社が掲げる理念です。この会社は、トヨタ自動車系列のディーラーが全国に約300社ある中で、1999年にCS調査が開始されてから継続して全国1位を獲得し続けています。
創業者である横田会長は、社員に販売ノルマを課すことはせず、長期的にお客様と信頼関係を築くことを重視する経営方針を一貫して保ち続け、ES、CS、業績それぞれを高いレベルで実現しているのです。 横田氏はCSがESに与える影響について「待遇以上に、上司や同僚から信頼されるとか、お客様から感謝されることが、自分の成長を実感でき、仕事への意欲につながる」と述べています。
そして、ESがCSに与える影響については「社員自身が、仕事や会社に満足していないと、心からお客様に喜ばれたい、満足していただきたいと思わない」と、CSとESは相互に影響すると主張しています。 (参考文献:日経ベンチャー2004年11月号)
これは、ネッツトヨタ南国に限った話ではないのです。例えば、ザ・リッツ・カールトンは、ESとCSを高めることが、自社の利益につながるという明確な信念を持っています。そして、CSを高めるのは、お客様と接する従業員であり、従業員満足度を高めることが顧客満足度を高めることにつながると考えています。ゆえに、年に数回、全世界同時でES調査を行い、各ホテルで適切なマネジメントが行われているかを検証しています。
高いCSを獲得している企業はどこも、ESを高めるための仕組みを整備しており、CSとESをスパイラル的に向上させていくために大きな努力をしています。