皆さん、「ものづくり補助金」はご存知ですか?
ものづくり補助金は、経済産業省管轄の中小企業・小規模事業者に対する補助金の一つで、2009年にスタートした制度です。予算は毎年1,000億円規模と比較的大きく、補助金額(一般型)は最大1,000万円(※補助率:1/2 or 2/3)なので、コストが厳しい中小企業においては有効に活用したいところです。

ものづくり補助金は、純粋な製造業だけでなく、「革新的なサービス開発」も補助対象として含まれているので、当社の新規事業(WEBシステム開発)についての申し込みを思い立ち、わずか3営業日で申し込み完了までたどり着けました。
(※まだ採択結果は出ておりません)

今回は、ものづくり補助金の概要と申請プロセス、申請書類等についてご紹介したいと思います。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金の(今年度の)正式名称は、令和元年度補正「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。略称として、2020年実施ものづくり補助金と書かれたりもします。

ものづくり補助金(一般型)の概要はこちら、公募要領はこちらをご参照ください。ざっくり重要なポイントをまとめると、次のような内容となります。

ものづくり補助金2020の概要
  • 目的:中小企業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等の支援
  • 補助金額:最大1,000万円
  • 補助率:中小企業者 1/2、小規模企業者・小規模事業者 2/3
  • 補助要件①:以下を満たす3~5年の事業計画の策定及び実行
    • 付加価値額 +3%以上/年
    • 給与支給総額+1.5%以上/年
    • 事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円
  • 補助要件②:交付決定日から10か月以内(ただし、採択発表日から12か月後の日まで)の事業実施期間に、発注・納入・検収・支払等のすべての手続きがこの期間内に完了すること。
  • 補助対象経費:機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
  • 注意事項:
    • 補助金受領後5年間は、毎年の報告、および調査への協力が必要
    • 補助対象事業にて収益が得られたと認められる場合には、受領した補助金の額を上限として、収益納付(返金)を求められる。(※免除される場合もある)

公募要領に、「単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要」と記載されているのですが、この設備投資とは、いわゆる機械や装置などのモノへの投資だけでなく、システム開発・構築(専用ソフトウェアや情報システムの購入・構築)を含んでいます。なので、モノは造らないけれど、革新的サービス開発・試作品開発として、WEBサービスの開発や新システムの構築も対象になるのがポイントです。ITベンチャーも補助金申請できるようになりますので、見逃せないですよね。

あと留意すべき点としては、いろいろな条件・制約がありますので、補助金もらえたらラッキーだから、とりあえず気楽に申し込んでおこうという類のものではありません。

私は前職にて、ものづくり補助金の申請・採択、その後の運用管理の責任者を務めていたことがありますが、申請書類の作成に工数がかかるのはもちろんのこと、補助金受領後の報告書類の作成、各種関連書類の管理、事務局の実地検査の協力などかなり大変です。採択後の運用コストがそれなりに重いということを覚悟した上で、申し込んだ方がいいでしょう。

ものづくり補助金の申請プロセス

1
公募要領の読み込み

公募要領を読むと、かなり細かく条件等が記載されていますので、自社の事業が該当するのか、応募期間、注意事項含めて、まずはしっかり理解をしましょう。

2

補助金の申請には、gBizIDプライムという専用アカウントの取得が必要です。申請書と印鑑証明書の郵送が必要で、この登録が済んでいないと、申請作業は全くできません。

3
電子申請システムにて申請書類の作成・提出

ものづくり補助金専用の電子申請システムにて、申請書類の入力・アップロードを行います。ここは完全オンラインなので、書類の郵送はゼロです。

4
採択通知後に交付申請

応募締切の約1ヶ月後に採択発表があり、採択されれば交付申請することで補助事業の開始となります。

1.公募要領の読み込みは、申請自体にも手間(コスト)がかかることなので、本当に申し込むべきかを判断するために、メリットだけでなく、デメリットや制約を理解するためにしっかり読み込み、理解すべきです。
なお、公募要領にサポートデスクの電話番号がありまして、そこに電話すると、不明点を優しく教えてくれます。

2.ものづくり補助金の申請には、gBizIDプライムの事前取得が必須です。gBizIDプライムは、「印鑑証明書(個人事業主は印鑑登録証明書)と登録印鑑で押印した申請書を運用センターに郵送し、審査(原則2週間以内)の後に作成される」と記載されていますが、私の場合は、3月27日(金)夕方に書類を郵送し、3月30日(月)15時にアカウント発行の連絡をメールで受けました。そこまで忙しい時期ではなかったのか、申請書受領後アカウントは即日発行されたので、大変助かりました。

3.電子申請システムにて申請書類の作成・提出ですが、私の場合は、3月30日(月)15時にgBizIDプライムのアカウント発行を受け、3月31日(火)0時30分に申請書類の提出を完了しました。途中の夕飯とお風呂休憩を除いて、ざっくり6時間程度の作業で申請作業を終えました。ちなみに、この電子申請システムは比較的よく出来ていまして、使いやすかったです。

4.採択通知後に交付申請となりますが、採択率は過去の実績では40%〜50%ほどと言われています。ベストショットを打った後は、心穏やかに待ちましょう!

申請スケジュール:今年のチャンスは計5回

出典)全国中小企業団体中央会

2020年におけるものづくり補助金の申請は、計5回の締切が用意されています。
既に1回目の締切(3月31日)は終了していますので、次回の2次締切は5月20日(水) 17時です。

どのタイミングで申請しても、補助事業の実施期間は最大10ヶ月と同じなので、自社の事業遂行にベストなタイミングで申請するのが良さそうです。

申請書類を効率的に作成する方法

それでは、次回は「申請書類を効率的に作成する方法」を私が作成した実例とともに紹介したいと思います。

【注意事項】ものづくり補助金に関する情報について当ページの記載事項のみで判断せず、必ず公募要領を確認いただくようお願いします。当ページの情報に従った結果、申請に間に合わなかった場合や、不採択となった場合において、当社は責任を負いかねます。