企業再生会社リヴァンプの澤田代表の話を聞く機会があったので、3回にわたって報告したい。

澤田代表は、伊藤忠商事出身で、ユニクロの副社長を経て、投資ファンドキアコンを設立、2005年にユニクロ元社長の玉塚さんと日本ではユニークな企業再生手法をとるリヴァンプを立ち上げた人だ。

正直に言うと、プレゼン(ストーリー)の説明は上手い方ではないが、中身(メッセージ)があるから、彼の持っているパッションがびしびし伝わってきた。一言で言うと、本当に熱い人。

伊藤忠での原体験から、ユニクロでの柳井さんとのやりとり、キアコンで学んだことなどオープンに話してくださったので、学ぶことがとても多かった。

まず、ユニクロでの話。

ある日、こんなことが起こったという。ある店舗で、お客様から大変に激しいクレームをもらい、柳井社長が澤田さんのところに駆け込んできていった。

「至急、対策を打ってほしい」と。

澤田さんは、クレーム発生の事実確認、問題の特定、解決策の周知などを社長に提案したが、柳井さんは「それでは不十分だ」ということでつき返したという。

「じゃ、どうすればいいんだ?」という澤田さんに対して、

「全社員に、このお客様のクレームFAXを読ませ、全員に対応策を考え、レポートとして提出させろ」といった。

澤田さんは、“そこまでやるのか”と驚いたそうだ。

私が学んだのは、柳井さんの“徹底力”や“解決策の明瞭さ”ではない。“社長としての仕事の仕方”だ。彼は、自分としての答えは既に持っていた。しかし、それは言わずに、部下にやらせた。そして、部下の答えが違っていたら、修正させたのだ。

こう書くと普通に聞こえるかもしれないが、簡単にはできないと思う。おそらく並の経営者であれば、自分自身の答えを「やれ!」とだけ部下に命令するはずだ。 

「答えはもっているが、まず、部下に考えさせ、やらせてみる」 

柳井さんはなにげなくこのプロセスを踏むことで、絶対的なオーナー社長である自分に対して、部下が指示待ちにならないようにしているのだろう。

社長は、答えが分かっていても、自らの手でやってはいけないのだ。

指示を通して、部下に実行させないといけない。