ソフトウェア大手のオラクルが、74億ドル(約7,400億円)でコンピュータ大手サン・マイクロシステムズを買収すると発表しました。(買収の総額はSunの負債などを含めると約74億ドル、実質は56億ドル程度になる見込みと発表している。)

元は、IBMとの買収交渉をしていましたが、価格面で折り合わず決裂し、電撃的にオラクルに買われるという結論になりました。

さてはて74億ドルというととてつもない金額ですが、この買収価額は適正でしょうか?

まず、サンマイクロの純資産(株主資本の部)は、55.8億ドルです。借入金は、12.6億ドルです。

次にサンマイクロのNPV(正味現在価値)は、直近の純利益が430百万ドルで、20年継続し、WACC(割引率)を6%とすると、46億ドルになります。WACCを5%にすると、約50億ドルです。(DCF法で簡易計算)

また株価ですが、現在の株価は9.15ドル。2008年12月は4~5ドルの間、2008年1月が約12ドルという状況でした。ちなみに2007年は20ドル近辺で推移していたので、最近は世界同時不況の影響もあって、過去と比べると低い水準にありました。買収時の一株当たりの価格は、9.5ドルと若干のプレミアムを乗せています。

以上を総括すると、買収価額の算出は、純資産法(時価ベース)に準拠した方法を軸として行われたと思っていいのでしょう。実質的な買収額と直近の純資産額はほぼイコールです。加えて、NPVと比較して大きな差はないこと、株価下落トレンドを踏まえ直近株価に若干のプレミアムを乗せたことで納得感を醸成しているのがポイントかなと思います。結論としては、各ステークホルダーから文句をつけにくい妥当な買収価額で決したということだと思います。

おそらく、IBMは純資産価値を下回る価格を提示し、サンマイクロとしては「そりゃ、ないだろ~」とつっぱねたのでしょう。