ファイブフォース分析は、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が開発したフレームワークであり、アメリカにおける経営論では避けては通れない基本中の基本といえる業界分析ツールである。
ポーターのファイブフォース分析の目的は、ただ一つ。
「業界の魅力度を分析すること」であり、それ以上でもそれ以下でもない。
よって、ファイブフォース分析の結果、”××業界は魅力的である”と評価することはできても、”××業界は魅力的であるので、参入すべきである”といった結論を出すことは出来ない。(参入是非は当該社の経営資源や競争優位性の分析・評価があわせて必要であり、ファイブフォース分析はそこまで考慮していない)
ファイブフォースという名の通り、業界の魅力度は、5つの力によって規定されるとの考えに立っている。
例)米国におけるペット向け医薬品業界について
【競合との競争関係】 ⇒中程度
・市場は急成長
・新製品は特許で保護
・グローバル大手が寡占
・売上の過半は特許切れ製品
・ジェネリックは発展途上
【売り手の交渉力】 ⇒高程度
・薬品原材料の差別化大
・仕入先のスイッチングコスト高
・政府(FDA)の規制力強
【買い手の交渉力】 ⇒中程度
・顧客の大半は小さな獣医
・スイッチングコスト小
【新規参入の脅威】 ⇒低程度
・多額の設備投資が必要
・政府からの規制強
・新製品開発はリスク高
【代替品の脅威】 ⇒低程度
・代替品少
⇒結論としては、「米国におけるペット向け医薬品業界は、魅力的である」となる。
ファイブフォース分析をするにあたっては、各フォースの実情・実態を調べることは誰にでもできるが、その程度(魅力度)を評価するためには、一定以上の背景知識・複数業界に関する動向を理解しておく必要がある。
業界が魅力的かどうかは、(基本的には)相対的な評価であって、物差しの軸(尺度)がないと、分析の結果を結論付けすることは難しい。