さて、では日本の解雇規制がどうなっているかというと、みなさんご承知の通り、正社員の解雇は非常に難しいのです。

労働契約法第16条に
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする
とあり、要は、”企業側の都合で自由に従業員を解雇することはできまへん”とされています。

さらに、レイオフ(日本語では、整理解雇となります)の際は、以下の4要件を満たさなければ、不当解雇とみなされ、従業員に訴えられると敗訴します。

整理解雇は以下の要件にすべて適合しないと無効(不当解雇)とされる。

1. 人員整理の必要性:余剰人員の整理解雇を行うには、削減をしなければ経営を維持できないという程度の必要性が認められなければならない。人員整理は基本的に、労働者に特別責められるべき理由がないのに、使用者の都合により一方的になされることから、必要性の判断には慎重を期すべきであるとする。

2. 解雇回避努力義務の履行:期間の定めのない雇用契約においては、人員整理(解雇)は最終選択手段であることを要求される。例えば、役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向等により、整理解雇を回避するための経営努力がなされ、人員整理(解雇)に着手することがやむを得ないと判断される必要がある。

3. 被解雇者選定の合理性:解雇するための人選基準が合理的で、具体的人選も合理的かつ公平でなければならない。

4. 手続の妥当性:整理解雇については、手続の妥当性が非常に重視されている。例えば、説明・協議、納得を得るための手順を踏まない整理解雇は、他の要件を満たしても無効とされるケースも多い。

※wikipediaより

さらに、解雇回避努力義務を詳述すると、
①経費の削減:交際費、広告費、交通費など
②役員報酬の減額
③新規採用の中止
④時間外労働の中止
⑤正社員の昇給停止、賞与の抑制、削減
⑥配置転換、出向
⑦一時帰休
⑧非正規社員の解雇
⑨希望退職の募集
の9つがあり、これ全部やらないと、解雇回避努力義務を怠ったとされ、正社員の整理解雇は不当とされちゃう訳です。

これだと、リストラ時に、従業員に対してメリハリの効いた報奨制度を実施することは不可能で、かつ、希望退職を実施しなければ、会社側が従業員を指名して解雇することが出来ないわけです。

被雇用者の権利確保および雇用者の解雇権濫用の防止を目的とした法制度ではありますが、これはさすがにやりすぎです。これだと、企業が正社員採用を抑え、非正規社員採用を増やすことで雇用調整しようとするのは当然の帰結である。

アメリカ的な、なんでもありの労働市場にする必要はないけれど、日本も段階的に解雇規制を緩和し、企業側の解雇権を正当な範囲で認めるべきであろう。