1) Voluntary layoff
=希望退職

2) Involuntary layoff without a specific plan
=計画的ではない、整理解雇

3) involuntary layoff with a plan
=計画的に行われる整理解雇

さて、この3つの中で、アメリカにおいて企業(雇用者)側の選択肢として最悪な選択とされるのは、1) Voluntary layoff(=希望退職)です。

なぜなら、就職先を見つけられるより優秀な社員が先に抜け、選択肢を持たず、保守的な社員が残るため、結果として、企業競争力が一段下がるからである。一般論として、これは正しいと思います。

※日本だと1)希望退職しないと、2)3)整理解雇できないのですが、それについては次の記事で。

次に、2) Involuntary layoff without a specific plan(=計画的ではない、整理解雇)とは、誰をどのように解雇するかを計画的に練らずに実施するレイオフのことで、例えば、年齢50歳以上の従業員を一律解雇とか、全部署の従業員数一律10%カットとかが、これにあたる。

日本人の感覚だと、2)の場合、不公平な判断基準による解雇が発生したり、裁判沙汰になる可能性があるので、弊害が最も大きく、これがworst choiceだと思うが、アメリカ的にはそれでもなお、1)と比べると、パフォーマンスの低い社員を優先的に退出させられる点において、勝っているということなのだろう。

最後に、3) involuntary layoff with a plan(=計画的に行われる整理解雇)とは、長期的な戦略に基づいて、人員削減規模を決め、各部門長に特定の基準に基づいた従業員のランク付けを行わせ、退職する人間への補償制度と合わせて、速やかに解雇を実施することをさす。

従業員のランク付けに際しては、①パフォーマンスの高低×②企業への忠誠心、の2軸で評価し、従業員を4分類に分け、処遇方法を検討するなどの方法もある。

当然、この3)が、企業側にとって最も望ましいレイオフ方法ということになるのだが、実際には簡単ではない。

まず、適性な人員削減規模を見積もるのは、かなり難しい。GMのように、毎年レイオフを繰り返し、延々と事業規模を縮小していく会社もあるくらいだ。そして、客観的な基準で公平に従業員を評価(ランク付け)するというのは、建前で、実際は人が評価する訳だから、好き・嫌いの要素は入らざるを得ない。

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というわけで、一口でレイオフといって、企業側の意向やシチュエーションによって、いくつかのパターンに分けられるわけだ。

アメリカにおいて、解雇規制が緩いことの負の側面は、当然ながら高い失業率である。統計的には、街を歩けば、10人に1人は、職を探しているけど見つけられない無職の人な訳で、大変な状況である。

一方で、レイオフが経営者の権利として認められていることが、企業の戦略的な柔軟性を高め、高い利益率を維持し、結果として強い国際競争力の維持に繋がっているともいえる。

こうした状況は、日本とはある意味、真逆の状態にあり、最近は日本でも雇用の流動性を確保するよう、解雇規制の緩和を求める声が広がってきている。では次に、現状の日本の解雇規制について簡単にまとめてみたい。