澤田さんは、企業再生を行なう上での重要事項として、「5%の計画と95%の実行」を挙げた。

この言葉、日産のカルロス・ゴーン氏が、NRP(日産リバイバルプラン)を発表したときに使った言葉でもあるが、やはり「実行してみると、全然違う。」「結果を受け止めて、修正していくことが大事」だというわけだ。

ロッテリアに経営者として乗り込んでいる湯浅さんも「やってみないとわからないことが、90%以上」と述べていた。

経営コンサルティングの現場においては、まず計画を作るところから始まることが多い。

PDCAのP(計画策定)が始めだから当たり前なのだが、正直なところ計画:実行の重要性は、50:50ぐらいで捉えられているのではないかという感覚がある。

実行の重要性を軽んじているわけではないが、どちらかというと、計画策定にエネルギーを使いすぎているということかもしれない。

私も中期経営計画の策定支援を何回も行なってきたが、特に大切にしていることは、中計自体というよりは、中計の使い方だ。計画は仮説であって、そのとおりには進まない。では中計という3年ものの計画を実務でどのように生かすかだ。
(中計の実行力を高め方については、また今度触れたい)

経営者の力量の1つとは、「5%の計画と95%の実行」のバランス感覚を掴んでおくことなのかもしれない。計画の重要性を理解していながらも、実行しながら、修正・改善させていくというアプローチを、的確にとれるかどうか。

考えすぎはダメで、体を動かして、検証しないといけないということだ。

例はまったく異なるが、映画監督の宮崎駿氏も、最初はラフな構想から始まり、絵コンテを描き進めるにしたがって、主人公に対する理解を深め、ストーリーを肉付けしていく。監督自身、船出の時点で、エンディングがどうなるか分かっていないらしい。

映画製作も「5%の計画と95%の実行」ということか。