価格戦略としては、大きく2つのアプローチをとることができる。

1.スキミング戦略
商品リリース時に価格を高めに設定し、時間の経過とともに(累積生産量が増えるのに応じて)価格を下げていき、需要を高めていく。
PC、家電など電化製品では当たり前となっている手法だが、特に戦略的といえるのはPS3やXBOXなどのゲーム機(ハード)である。新しくハードをリリースする時は数万円するが、数年おきに値段を下げていくのである。

2.ペネトレーション戦略
こちらは、逆で、はじめに価格を安く設定し、時間の経過とともに価格を上げていくというもの。前提として、商品が普及することによって(商品の保有者が増えることによって)商品の価値が上がっていく、というものでなければいけない。また、Willingness to Pay(消費者が買ってもいいと思う値段)が、実際の価格よりも高い状態でないと、価格を上げたときに顧客の離反(需要の減少)がおきるので注意が必要。
例としては、スターバックスが近年ドリンクの値段をじょじょに上げていったというのがある。顧客が捉えているスタバのドリンクの価値が、実際の値段以上であるというインサイト(洞察)に基づいて、意思決定された。企業としては、需要の落ち込みがどの程度になるかは読めきれないので、勇気のいる戦略といえる。

次にPrice Discrimination(価格差別)について。

マーケティングの4Pといわれているように、価格をいくらにするかは、企業として最重要の意思決定事項の一つ。消費者の種別によって、(基本的に同じ)商品でも価格を変えることは、重要な意思決定といえる。Price Discrimination(価格差別)は大きく、3つの方法がとりえる。

1.個別の顧客ごとに価格を設定する。
例えば、大学(MBA)の授業料はよい例。大学は自校のランキングを上げるために、学生の平均GMATを上げることを重視している。そのため、GMATの点数が高い学生により多くの奨学金を与え、入学してもらえるようインセンティブを付与している。

2.顧客の購買量によって価格を設定する。(=ボリュームディスカウント)
BtoBでは常に行われていますが、一度に購入する量に応じて、ある程度単価を下げ、トータルの収益を高めようという考え方。BtoCでも、ジーパンを2枚買えば、3枚目はタダ。というのも、その1つ。

3.顧客の価格弾力性に応じて価格を設定する。
価格弾力性とは、価格の変化率に応じて、需要がどれくらい変化するかということ。価格弾力的である場合は、(例えば)価格を値上げると需要が急に小さくなる。非弾力的であれば、値上げても需要は大きく変化しない。ルイヴィトンのバッグなどは、国によって値段が違うのですが、それは国ごとの価格弾力性を考慮していることによる。例えば、東京でのルイヴィトンのバッグの値段はフランスで買うより高いのですが、それは日本人がブランドものが好きなので、価格が高くても需要があまり減らない(=非弾力的)から。