昨日バブソン大学に在籍する日本人教授2名のところへ同級生とともにインタビューにいってきました。

インタビューの内容自体は、同級生のたけ君がまとめてくれると思いますので、ここでは先生からお伺いした脱線話を中心に、アメリカのBスクールの教授の生態系についてまとめてみたいと思います。

1.教えるだけが、ビジネススクールの教授の仕事ではない。
Bスクールによって異なるが、教授はteaching(授業)とresearching(研究)の両方を求められる。バブソンは、どっちかに偏っているわけではなく、両方ともある程度求めているとのこと。経営学には、もちろんカテゴリー毎の研究専門誌(ランク/格が明確に設定されている)があり、そこに論文が掲載されないと評価されないわけだ。しかも、その論文の査読は異様に厳しく、3,4回の書き直しは当たり前で、仕上がるまでに半年かかる場合もざららしい。”経営学”は、「経営を科学する」学問であり、論理的・統計的に仮説が真であったかどうか、十分に説得的な根拠を示し、他の学者が納得できるレベルのものになっているかで、その質が決まる。

2.見えないところで努力し、競争している教授たち。
できるビジネスマンも同じですが、教授も見えないところでかなりの努力をしているとのこと。1コマ90分ですが、(先生により差はありますが)大体6時間~8時間の予習を行い、授業に備える。90分の授業をどのように有効に使うかシミュレーションし、想定問答集まで用意しておく。そして、あたかも何事でもないかのように、自然体で授業をこなしているのだ。そして、教授たちは、お互いにどのように授業を進めているかなどのテクニックなどを共有したりはしない。そうしたHOWの部分は、自分を差別化し競争優位でい続けるために維持しなければいけない、いわば企業秘密なのだ。こうして、和気藹々の教授陣ということはなく、クールな緊張感の中、彼らは静かに競争をしているのだ。

3.評価は厳しく、ストレート。競争力がなければ、生き残れない。
ビジネススクールは、誤解を恐れずに言うと、人気商売(=ランキング命)なので、自校の教員の質が低ければ、当然学校として生き残っていけません。なので、組織としては、競争力のない先生にはExitしていただく必要があるんですね。年に2回の、Faculty Directorとの評価会議において、極めてストレートな評価/フィードバックを受け、評価が芳しくない人は「そろそろ別の道を・・・」と促されるのだとか。だから、どの教授もTenure(終身在職権)獲得のために、一生懸命奉公するわけだ。

4.突き詰めると、個人事業主的な世界。自由度は高く、可能性は無限大。
そうはいっても、教授はいい商売である。上司もいなければ、部下もいない。自分の知識と技術と人間力を武器に、自分の大好きな分野の研究を続けながら、「教える」という気持ちいいことを生業にできる。本人にやる気と能力があれば、民間企業へのコンサルをして、お金を稼ぐのも自由である。実態としては限りなく個人事業主に近いが、実際の個人事業主よりリスクが少なく、社会的地位もついてくるのが教授である。

$アメリカから世界をみる バブソンMBAのブログ

私が大好きなProf.JB。彼は完璧なシナリオを作って授業に臨み、90分間魂を注いで特別な空間を創り出します。