改めて「マクロ経済」を勉強したことが、世界経済のつながりを理解する上で非常に役立ちました。今回は、マクロ経済の学びについて、上手く言葉にできるかどうか分かりませんが、自分なりにたな卸ししてみたいと思います。

マクロ経済のベースは、Real Goods Market(財・サービス市場)、 Real Loanable Funds Market(金融市場)、 Foreign Exchange Market(為替市場)の3市場から構成されており、それぞれの市場は相互に影響しあっている。

マクロ経済を考える上で重要なのは、Government(政府)とCentral Bank(中央銀行)の存在だ。政府も中央銀行も、一国家の最高権力機関として、その国の経済の持続的発展(=GDPの安定成長)を目指してEconomic Policy(経済政策)の舵取りを担っている。経済政策には、政府が担うFiscal Policy(財政政策)と、中央銀行が担うMonetary Policy(金融政策)の2つがあり、それぞれは別のものである。政府と中央銀行はそれぞれ独立した機関であり、お互いに影響しあうことはあっても、その意思決定は独自に行われるものである。

政府がとるFiscal Policy(財政政策)は、1)Tax(税率)を増減するか、2)Government Spending(政府支出)を増減するかの、2つに分けることが出来る。1)もしくは2)の調整を行うことで、経済成長のスピードの調整を図ろうとするのである。

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政府の財政政策は、財・サービス市場に直接の影響を与える。例えば、政府が政府支出を減少させる、もしくは、税率を上げる(⇒投資(I)と消費(C)が減少する)と、Aggregate Demand(総需要)が減少する。その結果、需要曲線は左にシフトし、GDPが減少するとともに、Price Index(物価指数)も減少する。言い換えると、経済成長が鈍化し、デフレ化圧力が強まる。

一方、中央銀行がとるMonetary Policy(金融政策)は、1)Interest(金利)の増減、2)Reserve Ratio(預金準備率)の増減、3)Open Market Operation(公開市場操作)(=国債など証券の取引)の3つがあり、1)2)3)を組み合わせることで、市場に流通する貨幣の総量(Money Supply)をコントロールし、経済成長のスピードの調整を図ろうとするのである。

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中央銀行の金融政策は、金融市場に直接の影響を与える。例えば、中央銀行が国債を購入し、Monetary Base(マネタリーベース)を増やすと、金利は減少する。また、預金準備率を上げると、Money Multiplier(貨幣乗数)が下がるので、マネーサプライは減少する。結果、金利は増加する。

最後に、為替市場であるが、これはその国の通貨が諸外国からどれほど必要とされているか、またその国の通貨の供給量がどれほどであるかで、為替の価値(為替相場)が決まる。

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例えば、諸外国からの円の需要が高まれば、円の価値が上がり、円高となる。別の見方をしてみると、アメリカが金融市場を安定させるためにマネーサプライを急激に増やしたとすると、米ドルの供給量が増えるので、結局日本円の需要増につながり、円高になる。為替市場は、当該国が変動相場制をとっているか、固定相場制をとっているかで、他市場に与える影響が異なってくる。固定相場制をとっている場合は、為替相場の変動圧力に対して、当該国は為替介入することで、為替相場を無理やりもとの水準に戻す行為を行う。なので、その際にマネタリーベースが変動する。
例えば、中国は固定相場制を維持しており、中国元は実際の通貨の力よりも安く設定されている。これは、中国が輸出に依存した経済体制をとっており、国内商品の価格競争力を維持したいためである。中国は低い中国元を活かして、輸出を増やし、外貨を稼いでいる。元が安いと買い圧力が強まるので、元高に動くが、中国政府はこれを嫌い、中央銀行を通してマネーサプライを増やして、元を安値に戻すのである。

上記の3つの市場は相互に影響を受けあう。

政府が財政政策を発動すると、金融市場・為替市場にも一定の影響を与えるし、中央銀行が金融政策を発動しても、財・サービス市場、為替市場にも一定の影響を与える。

2008年の金融危機で明らかになったように、世界経済の結びつきは次第にどんどん強くなっており、影響が伝播するスピードも加速している。

企業経営者の立場としては、自国はもちろん、各国の経済政策がどのように執行されているのかを見極めることで、短中期の経済動向を予測し、業界にとっての風を読むことに繋がるのである。