サブプライムローン危機、リーマンショック、世界同時株安、金融・経済危機と、世界全体の経済情勢が大きく変化している中で、ビジネススクールにおいても、教育のあり方についてどうあるべきか(あるべきだったのか)が議論され、教育体系や理念の変化を迫られています。
特に、米国のビジネススクールでは、ウォールストリートの大手金融機関で働く40%の人間はMBAであるということもあって、ビジネススクールにおける教育が適切ではなかったという反省の声が聞こえてきます。
ニューヨークタイムズの記事ですが、このような意見がのっていました。
Jay O. Light, the dean of Harvard Business School, argues that there have been imbalances both on campuses and in the economy. “We lived through an enormous extended period of financial good times, and people became less focused on risks and risk management and more focused on making money,” he said. “We need to move that focus back towards the centre.”
ハーバードビジネススクールの学長ジェイ・ライトは、「大学における教育と実経済との間では乖離があった思う。我々は、非常に長い間、好景気の中にいた。そして、人々は、リスクやリスクマネジメントを軽視し、むしろ金儲けにやっきになっていたのだ。我々はもう一度、何が重要かを見直さなければならない。」と述べている。
Rakesh Khurana, an author and a professor at Harvard Business School said, business school never really taught their students that, like doctors and lawyers, they were part of a profession. And in the 1970s, he said, the idea took hold that a company’s stock price was the primary barometer of success, which changed the schools’ concept of proper management techniques
ハーバードビジネススクール教授で作家でもあるラケシ・クラナ氏は、「ビジネススクールは、学生たちに自分たちは医者や弁護士と同じ高度な職業人であることを自覚する必要があるなどと教えてこなかった。そして1970年代に、株価が成功を判断する最重要な指標であり、この概念がビジネススクールにおける適切な経営手法を歪めてしまった」と述べている。
世界No1のビジネススクールの学長、教授がここまで反省の弁を述べているわけでは、総じて、株主重視の経営、短期的な利益志向の考え方が行き過ぎてしまったことを認めるものなのでしょう。
私も大学で、”会社は誰のものか?”という議論の中で、”会社は株主のものである”という考えが、世の中の主流であると教わったことを思い出しました。
今、多くのビジネススクールが、教育の軸を変えようと努力しているのです。