バブソン大学のJapan Tourに飛び入り参加する形で、トヨタとデンソーの工場見学をさせていただきました。
朝の新幹線で名古屋に行き、8時に名古屋東急ホテルに集合。ここにバブソン大学から20名弱のMBA生と教授2名が宿泊しています。
そこから友人たちとの挨拶もそこそこにバスで、デンソーさんの高棚製作所へ。
ここでは、デンソーにおける車部品(メーターパネル)の製造ラインを見させてもらいました。多品種少量生産を可能にする工場設計をしているとの話だったのですが、驚いたのはオートメーションの高さ。施設内を一望すると、様々なマシンで埋め尽くされているのですが、ほぼすべての工程が自動化されており、人の姿はほぼ見かけません。作業員が行うことといえば、一つのマシーンでの完成品を次のマシーンに運ぶことと、各マシーンの稼働状況を管理することくらい。車の小さな部品・パーツは、ほぼ100%機械によって作られているんですね。
次にみたのは、別のライン。ここで、初めてアンドンといわれる生産管理システムを目の当たりにしました。一つのラインには、1~18までの工程があるのですが、アンドンはラインの上からぶら下がっている電光掲示板で、各マシーンの稼働状況と全ラインの稼働率を表示しています。例えば、マシーン3が故障で停止していると、アンドン上の3番が緑色から赤色に変わります。そうすると、工場のどこからでもラインリーダーは3番マシーンに問題があることがわかるので、その修理にあたるわけです。その問題の修復に手間取っていると、稼働率はどんどん下がっていく。なので、同じ製品のラインが複数並んでいるのですが、高いものは95%以上、低いものは67%程度とラインによって稼働率が大きく変わるっていうことも起きるんですね。
見学中デンソーギャラリーの館長からいろいろお話をお伺いしましたが、トヨタと長い間一体でやってきたので、今でもトヨタの精神を大切にしており、トヨタ生産方式を遵守しているということでした。
DENSOギャラリー
その後お昼を挟んで、トヨタへ。
トヨタではカローラを生産している高岡工場へ。人生初のトヨタ工場見学です。
工場見学は、車の生産の流れの説明から始まりました。車の部品は400、溶接箇所は4,000だそうです。大きな流れとしては、プレス⇒溶接⇒ペイント⇒組み立てとなっています。
工場(ラインの手前の部品受入場所付近)をみて驚いたのは、非常に整然としており、皆たんたんと自分の仕事を行い、一切の無駄・余分がないこと。役割が明確で、何をどのようにするかがきっちり決まっているので、特に誰かが誰かに指示しているという風景はどこにもないのですが、連携によどみがない。カンバンについても実物を見させてもらいましたが、作り自体は簡単なもので、納入業者、納入部品、個数、バーコードなどが記載されており、カンバンを納入業者に引き渡すことで、トヨタ工場内の在庫を極小化しています。
次に実際のカローラの生産ラインを見ましたが、これには大変驚きました。車のベース(フレーム)がベルトコンベア上に乗っており、ゆっくりと流れていくのですが、その上に作業員が配置されており、流れてきた車に自分が担当する部品を設置していくんですね。しかも、それをものすごいスピードで取り付けていくのです。1秒たりとも無駄にはできないという気迫と勢いで作業をばばぁと済ませていきます。一つ終われば、即座に次の車へ。全作業員が100%の集中状態。この状態を2時間続けて、10分休むのですが、これは大変な重労働。もう、サボるとか手を抜くとかいう余地は全く無いんですね。というのも、スピードが遅くなり目標タイムに満たなければ、自分の箇所がボトルネックになり、全体の生産量が落ちるということになる。手を抜くと欠陥品が後の検査工程で明らかになるので、結局自分の所に戻ってくる。一旦この仕組みの中に入ってしまうと、ハイクオリティで生産活動を続けるしかないのです。
車の生産工程は、デンソーのものとは違い、人とマシーンが協働している感じ。機械の力を利用しながら、スピーディに車を作り上げていくので、ラインは力強く躍動感にあふれています。車のフレームに、エンジン、電子部品をはめていき、窓をつけ、椅子をつけ、ドアをつけていきます。そして、車が完成すると、検査(Inspection)に入ります。ここで車の全ての機能が問題なく動くか確認されます。
さすがに世界に名だたるトヨタ生産方式だけあって、学びになる点が多く、とても参考になりました。全ての工程に目標タイムが設定されており、1秒でも早く生産できる仕組みを作っている。プロセスを常に改善するために、従業員には工程上の改善提案をすることが奨励されている。仮に突発的に作業員が欠員しても、他のチームがフォローできる体制が整っている。問題があれば、誰でも即座にラインをストップさせることができる。、、、と完成された生産システムをみることに感動を覚えました。
あと工場内は、写真撮影禁止でしたので、トヨタ会館ミュージアムでの写真は2つほど紹介します。
歓迎していただきました。「Welcome to TOYOTA. Babson College」
コンセプトカー。