先日、新人事制度を導入したクライアントで、全社での目標設定を行ってきました。約一年前にほぼ同様の内容の研修を行ったのですが、新しく入社した社員が増えていることもあり、2回目の目標設定研修でした。
新しく導入した人事評価制度(特に目標管理制度やOKR)を機能させるためには、目標設定研修を定期的に行い、組織的な浸透とレベルアップを図った方がいいのですが、その理由についてまとめたいと思います。

目標設定研修はなぜ定期的に行うのが良いか?

人事制度を刷新した時に、目標管理制度の変更点を説明するための研修を行う会社はままあると思います。ですが、目標設定研修を定期的に行なっている会社は少ないのではないでしょうか。

ですが、目標管理制度が馴染んでいない会社、特に設立10年以内の若い会社は、定期的に目標設定研修を全社で行うことが望ましいです。何故か?

それは、シンプルに
組織としての目標設定スキルを上げるため
です。

質の高い目標設定ができる人と、できない人がいるのですが、何が違うかといえば、良い目標設定をする技術(知識とテクニック)があるか、ないかです。ポイントをしっかり抑えて反復練習すれば、どんな人でも「良い目標設定」ができるようになります。

目標設定をすべき理由とは?

では、従業員が、目標設定すべき理由とは何でしょうか?
代表的なものを書き出してみたいと思います。

  • 目標があることで、行動が喚起されるから
  • 目標があることで、向かうべき方向が定まるから
  • 目標があることで、進捗がわかるようになるから
  • 目標があることで、モチベーションを保てるから
  • 目標があることで、より高い成果につながるから

実は、アメリカの心理学者であるロック先生が、目標設定をすることが、個人のパフォーマンス(成果)向上にポジティブな影響を与えることを実験し明らかにしています。

目標設定をすべき理由:
適切な方法で目標設定をすることで、優れたパフォーマンス(より高い成果)につながるから。

なのです!

良い目標設定とは何か?

「良い目標」とは何かをしっかりと理解することが、目標設定する上での第一歩になります。JSPが提唱する、良い目標のフレームワークはこちら↓。

目標は、「SMART」に!です。この5つ全てを満たしていると「良い目標」といえます。少し説明を加えると、次のようになります。

  • Specific(明確な目標):誰が読んでも同じ意味にとれる、実行(実現)に向けて十分な具体性を伴っている目標。
  • Motivating(やる気が出る目標):自分のモチベーションはどこにあるかを理解した上で、自らのモチベーションに立脚した、やる気が出る目標とは何かを考える。
  • Achievable(達成可能な目標):簡単ではないけれど、十分に努力すれば、なんとか達成できると思える目標。
  • Relevant(組織と紐づいた目標):自分自身が達成したいと思えて、かつ、組織の中で「期待されている成果」の達成につながる目標
  • Trackable(測定可能な目標):第三者(上長)が、目標の達成度合いを評価できる内容(具体性)を伴った目標

どれも重要な要素ですが、慣れていないと、どうしても目標が曖昧になってしまいますので、初期の段階ではSpecific(明確な目標)を意識すると良いです。

目標設定スキルは向上するのか?

目標設定スキルは向上するのか?
答えは、もちろん「YES」です。

実際にクライアント企業の社員の目標設定シートをすべてレビューしたことがありますが、半期に1回目標設定とメンターとの振り返り面談を行うだけでも、1年経つと、組織全体としては「質の高い目標設定が行えている人の割合が増えた」ことが確認できました。

目標設定と振り返りを適切な時間をかけてちゃんとやる」「それを継続的に繰り返し行う」ことで着実に組織全体の目標設定スキルは上がっていくので、継続的、かつ、着実に取り組んでいくことが肝心なのです。