この本は、ベンチャー企業にとっての資金調達、事業計画、ストックオプションから、資本政策、VCとの関係構築、種類株まで、ベンチャー経営者が知っておくべきファイナンスのいろはについて、分かりやすく解説してくれています。

この本が優れているのは、理論と実務のバランスをとてもうまくとっていること。そして、(日本の)現実をすごく正直に、ストレートに書いていること。

ファイナンスの本の多くは、理論に寄っていて、企業経営者が現実に直面する問題や落とし穴、その回避の仕方や、実務レベルでの細かい話などについて触れらていることはあまりありません。

ただ、この本の場合は、著者がベンチャー企業のファイナンス実務に詳しいことを活かし、実務レベルでの押さえ所をきっちり説明してくれている。かつ、日本の経済社会の実際を(銀行融資は個人保証が必要や、VCの現実など)ストレートに語っている。それでいて、ファイナンスの理論を疎かにすることなく、ベンチャー経営者でも知っておくべきこと(事業計画や企業価値評価など)カバーしています。

あとは、語り口も軽快なので、堅苦しくなく、さくさく読み進めることができるのもいいです。企業ファイナンスの現実、とくにベンチャー周りで起こっていることに100%こうというのはないので、”~と思います”や”~はずです”、そして、時には”根拠はないですが”という表現もあったりするのですが、それが逆に表現としては好感もてる感じです。