ピンクは、モチベーションを3つの段階に分け、
モチベーション1.0は、生存するためのある種本能的な生理的動機付け
モチベーション2.0は、報酬を求め、罰を避けたいというアメとムチの考えをベースにした動機付け
モチベーション3.0は、自らやりたいことを進んでやるという内発的報酬に基づく動機付け
としている。
筆者は、多くの企業はモチベーション2.0をベースに諸制度を組んでいるが、そこには多くの限界と問題点を孕んでおり、モチベーション3.0の考え方に移行していくことが大切だと説いている。
世界がフラット化し、個の発言力が高まっていくネット社会の中で、企業が個人のやりがいを重視し、自発的な動機付けを高めていく重要性が高まっていることは間違いない。
その意味で、ピンクの主張は的を得ているのだが、論説の中身は、特段新しいことを述べているわけではない。
モチベーションの段階論としては、マズローの欲求段階説の方が分解能が高く、適合度が高いと思うし、外的動機付け/内的動機付けの特徴・優位性についての分析も、10年以上前からあるわけで、ピンクが何か新しいことを発見したわけではない。
というわけで、内容的にはどこかで聞いたことがあるような話が続くので、やや退屈な感じはあるのだが、モチベーション3.0の3要素として
①自律性
②マスタリー(熟達)
③目的
を挙げ、モチベーション3.0を導入するための指針を示していることは一読の価値あり。
最新の企業事例などを載せる事が出来ていたなら、より説得力のある書になっていただろうと思われます。