昨日拝聴した、岩瀬氏の講演メモ。

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■ライフネット生命保険立ち上げの背景
・HBSを卒業する直前に出会ったある投資家と会話が全ての始まり。「君が新しいビジネスを興すなら、絶対に成功する。全力で応援するよ」 彼から、自身の才能を新しいビジネスの創造に活かすべきだと助言され、熟慮。
・日本の生命保険の第一人者である出口氏(現同社社長)を紹介され、共にビジネスプランを練り、市場規模の大きい生命保険に挑戦することを意思決定。
・起業にあたっては、新しいスタイルの骨太のベンチャーを目指すことを決めた。経済の傍流ではなく、経済のメインストリームを築くことを決めた! 
そのために、ベンチャー起業の経営に
 -大人の流儀を持ち込む
 -大企業を巻き込む
ことを重視した。
・出口さんを社長とし、タッグを組んだのもその一つ。また、マネックス、リクルート、7&i、グロービス、三井物産、新生銀行などエスタブリッシュメント系大企業にも出資してもらった。

※コメント:特に「大人の流儀を持ち込む」という発想は、なかなか出来ることではないので、素晴らしい。多くのベンチャー企業は、「考え方や文化が若く未熟である」というのは事実です。

■成功するベンチャーの要件
①マーケット(市場)が大きいこと
②市場にひずみ(非効率)が大きく、変化が期待できること
③差別化されたソリューションを提供できること

※1:生命保険の市場は40兆円。日本は、他国と比べても保険にお金をつかっている。
※2:生命保険業の場合、保険料の3~6割は保険会社の手数料(宣伝広告費、販売費、人件費、システム費など)に消え、保険元本はもとの保険料の4~7割でしかなかったという事実。
※3:06年に規制緩和され、保険料の自由化が進み、保険会社は自社の手数料幅を自由に設定できるようになった。これによって、ネットベースの運営をすることで、同質の保険を格安で提供できるモデルを構築できた。

■ベンチャー企業を経営する上で大切なこと
・誰からお金をもらうか
出資してもらうのであれば、事業会社がよい。なぜなら、顧客を紹介してくれることもあるし、アライアンスを組むこともできる。また経済的リターンについては、長期視点でつきあってくれる。VCは、短期志向で金にうるさいし、特にサラリーマンキャピタリストは助けて欲しいときに逃げる。

・誰をバスに乗せるか? (誰と共に働くか?)
誰を雇うかで、アウトプットが1~10くらい違ってくる。ベンチャーだと、育てている余裕も、構ってあげる余裕もない。自立して進んでいってくれる必要がある。
また、魅力的な仲間と仕事をすることが、自身のモチベーションを高めてくれる。

■経営者の仕事とは?
①営業(商品のセールス) 
 他の人間ができないやり方で、自社の商品をより多くの人に買ってもらうこと。なので、ブログも、講演もセールスの内ととらえている。

②社員が活き活きと仕事をできる環境を作ること
 社員の顔をみながら、伸び伸びと仕事をできる環境を整えてあげる。そのために、いろいろなイベントなどもやって、社内を盛り上げている。

③会社が成功することをひたすら考えること
 アウトプットを自分で作らないことに不安を覚えるかもしれないが、それはもはや自分の仕事ではないと決め、ひたすら短期、中期、長期の会社の将来を考える

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現場で実感しているリアルティーのあるお話なので、大いに参考になりました。